4月20日(木)に「Face to Faceの糖尿病診療を目指して~島田市糖尿病地域連携パス~」が大井神社宮美殿で開催されました。(共催:島田市医師会、榛原医師会、日本イーライリリー株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)
第1部では「島田市における糖尿病連携パス2022年~2023年の活動」について、当医療センター糖尿病・内分泌内科の大石医師が座長を務め、同科の善當医師が演者として講演しました。
糖尿病治療は、糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLの獲得のため、高齢者のサルコペニア(筋肉の量が減少していく老化現象)予防などに注意して診療にあたる必要があります。また、専門医の数が十分ではないこともあり、開業医の先生やスタッフ、行政、介護施設など地域全体で糖尿病患者を診ていくことが重要になってくるそうです。
その手段のひとつとして「糖尿病連携パス」を挙げました。
連携パスとは、当医療センターと、かかりつけ医である開業医による「2人主治医制」で、クリニカルイナーシア(臨床的惰性)やスティグマから患者さんを守りながら治療をしていくものです。
連携パスを利用するメリットについて善當医師がいくつか症例を挙げながら紹介しました。
「糖尿病治療を頑張っているけど、なかなか継続できない」、「金銭的に厳しく、自己中断してしまう」といった症例に対し、「継続は難しいかもしれないが、半年に1回は医療センターに受診することで治療を振り返るきっかけとなること」、「金銭的な理由で受診を止めてしまっても、状態が悪くなって開業医もしくは医療センターのどちらかに受診をしてさえもらえれば、最悪な状況を免れることはできる」といった意見を述べました。開業医の先生方にとっても、連携パスを利用することで治療の見直しのきっかけにもなるので、試しに1回利用してみるのも良いのではないか、という提案をしました。
最後に糖尿病・内分泌内科では、院内で「糖尿病拡大勉強会」を開催したり、市と協力して「多職種合同研修会」を開催したりするなど、糖尿病治療を地域に根付かせる活動について紹介し、第1部が終了しました。
第2部では、「地域ぐるみで進める糖尿病診療~よりよい連携実現を目指して~」と題して、善當医師がファシリテーターとなり、加納医院の小原院長としのざき消化器科・内科医院の篠崎院長とディスカッションが行われました。
小原院長と篠崎院長は、連携パスを利用する上で患者・医師にとってのメリット、デメリットを挙げ、パスを利用したくてもできないケースについてどうしたら良いか、など時折質問を交えながら連携パスの紹介をしました。
篠崎院長からは、「連携パスを利用したいが働き盛りの人が多く、『土曜日しか受診に行けない』といった声が多い」といった意見もありました。大石医師・善當医師は「当医療センターは暦通り開いているので可能であれば、ゴールデンウィークやお盆休みといった長期休みでの受診は如何でしょうか」と提案したり、参加した医師からも質問が出たりするなど、充実したディスカッションが行われ、講演会は終了しました。
文責:経営企画課