24時間の受け入れ態勢、質の高い医療を
脳神経外科と脳卒中科では、脳卒中、脳腫瘍、重症頭部外傷など、主に脳の器質的疾患の診療を行っています。直達(開頭)手術のみならず、内視鏡手術やカテーテル治療も積極的に導入しており、脳卒中等の急を要する疾患については救急部や麻酔科の協力の下、緊急の開頭手術やカテーテル治療を24時間365日提供できる態勢を整えています。また、回復期リハビリ病棟を併設しており、急性期から質の高いリハビリテーションを提供しています。
脳外科診療に於いては高度な医療機器(ハード)とそれらを使いこなす技術を持った人(ソフト)が欠かせません。現在もハードは整っていますが、2021年5月に新病院が開院すると最新の血管撮影装置や放射線治療装置が導入され、ハードはかなり高レベルで揃うことになります。また、ソフト面に関しても大阪市立大学脳神経外科の協力も得ながら、日々進化し続ける脳外科医療を高いレベルで提供出来るよう各種専門医や専門看護師の取得など脳外科スタッフ一同研鑽を積んでいます。
認定施設など
- 大阪市立大学脳神経外科後期研修プログラム研修施設
- 日本脳神経血管内治療学会専門医訓練施設
- 脳卒中学会認定一次脳卒中センターコア施設
- 脳卒中学会認定教育訓練施設
対象疾患と症状
脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破綻して出血したり(脳出血、くも膜下出血)する病気です。症状の出現は突然で、今まで経験したことのないような頭痛や(くも膜下出血)、手足の麻痺や言語障害、感覚障害など(脳出血、脳梗塞)が起こります。いずれも急を要する病気なので、すぐに受診してください。突然の激しい頭痛や、麻痺が強い場合、受け答えに支障がある場合には救急車を使用してください。
脳卒中の多くは高齢者に発症し、加齢や生活習慣病に伴うものがほとんどですが、時として、海綿状血管腫や脳動静脈奇形のような血管の奇形や、硬膜動静脈瘻のような後天性の異常血管が出血を起こしていたり、免疫疾患やある種のタンパク質の欠損症、遺伝病などが脳梗塞の原因となっていたりすることがあります。比較的若年者で、生活習慣病のない患者さんに発症する脳卒中では、こういった疾患が隠れていることが多く、脳卒中を繰り返す原因となります。
頭蓋内にできものが出来る病気です。腫瘍細胞が増殖すると、正常脳に障害を来たし、麻痺や感覚障害、言語障害、嗅覚障害、視力障害、聴力障害など多彩な神経症状を呈してきます。また、腫瘍が大きいと、頭蓋内の圧が上がり、早朝に吐き気を伴う頭痛が出現してくることがあります。腫瘍が増殖することで症状が出るので、進行性の経過をとることが多いです。一方、最近、CT,MRIなどの画像診断が普及したことにより、症状を呈していない比較的小さな脳腫瘍が、偶然に発見されることがあります。
頭部に強い外力が加わることにより脳が痛んだり(脳挫傷、びまん性軸索損傷)、頭蓋内に出血をきたしたり(急性硬膜外出血、急性硬膜下出血、挫傷性脳内出血)します。
外傷後遅れて出血を来すことがあるので、24-48時間は様子を見てあげることが重要です。頭部外傷後、意識が悪い、若しくは、意識が悪くなってきた場合は救急車を使用してください。また、軽微な外傷後、2-3週間から数ヶ月かけて、じわじわと出血が起こってくる病気があります(慢性硬膜下血腫)。言葉がうまくしゃべれなくなったり、うまく動けなくなったり、物忘れが急速にひどくなったりします。
顔面の感覚神経や運動神経の根元が刺激されると、顔面の強い痛みや、いやなぴくつき、ひきつれが起こります。多くの場合は脳の血管が神経に当たっていることが多く、内服治療や注射治療(ボトックス注射)、開頭手術により、治療します。
治療法
全身麻酔下に開頭して行う手術です。手術用顕微鏡を用いて行われ、脳外科手術の中心です。適応は脳腫瘍の摘出術、くも膜下出血の出血源となる動脈瘤に対するネッククリッピング、脳内出血に対する開頭血腫除去、脳梗塞に対する血管吻合手術、血管奇形の摘出術、三叉神経痛、顔面けいれんに対する微小血管減圧術など多岐にわたります。
内視鏡を用いて行う手術です。従来の手術に比べて傷が小さく、低侵襲です。下垂体腫瘍摘出術や、脳内出血に対する摘出術、水頭症手術などを行います。
主に鼠径部を穿刺してカテーテルという直径0.5mmから3mmの樹脂で出来た管を血管の中に挿入し、専用のレントゲン装置でそれを見ながら治療を行います。適応は動脈瘤に対する瘤内塞栓術、急性期重症脳梗塞に対する血栓回収、頸動脈狭窄に対するステント留置術、脳動静脈奇形に対する塞栓術、脳腫瘍に対する術前塞栓術、硬膜動静脈瘻に対する根治的塞栓術など多彩な疾患が対象となります。
脳梗塞に対する血栓溶解薬による急性期血栓溶解療法や脳の腫れを抑える点滴、脳腫瘍の薬物療法など、脳神経の器質的疾患に対する内科治療も重要なツールです。
実際の現場では上記の治療を選択したり、組み合わせたりすることでより効果的でより安全な治療が可能となります。これを集学的治療と呼びます。超急性期を含め、全て欠くことのできない治療です。
治療機器
手術用顕微鏡は繊細な脳外科手術には欠かせない機械です。KINEVOは従来の手術用顕微鏡の機能に加えて、ロボットアームの機能と最新のVisualization Systemが搭載されており、術者を支援してくれます。
4K内視鏡
近年脳神経外科領域でも内視鏡手術の発展がめざましく、一部の手術は顕微鏡から内視鏡に移行しつつあります。4K内視鏡は高精細な画像で内視鏡手術の精度向上に寄与します。
ナビゲーションシステム
術前に撮影されたMRI,CT画像を3次元データ化し、実際の術野と重ね合わせることで、手術のリスクを低減してくれます。
神経や脳を刺激してその反応を見ることで、手術中に神経が正常に機能しているかどうかをチェックしたり、腫瘍で圧迫されて見えなくなった神経を探したりするのに必要な機械です。現代の脳外科手術では不可欠な装置となっています。
フラットパネルディテクター血管撮影装置
血管内治療に不可欠な装置です。フラットパネルディテクターは従来のイメージインテンシファイヤー装置と比較すると低線量で高精細な画像が得られます。血管内治療の被爆低減に役立ちます。2021年開院の新病院ではシーメンス社製の最新フラッグシップモデルが導入される予定です。
遠隔手術動画配信システム
当院には遠隔手術動画配信システムが導入されています。出張などで指導医が不在の時でもセキュリティを担保したネットワークで手術動画を指導医に配信し、リアルタイムに指示を受けることが可能です。
日本脳神経外科学会データベース研究事業
JND_当院で脳神経外科治療を受けた患者さんへ (PDF 310KB)
医師紹介
職名 | 氏名 | 医師免 取得年 |
学会専門医資格等 | 備考 |
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病院顧問 | 村田 敬二 | S54 | 脳神経外科学会専門医・指導医 脳卒中学会専門医・指導医 脳神経血管内治療学会専門医 脳卒中の外科学会技術指導医 リハビリテーション医学会認定臨床医 |
脳神経外科・脳卒中科兼務 |
主任医長 脳卒中センター |
金城 雄太 | H21 |
脳神経外科学会専門医・指導医 |
脳神経外科・脳卒中科兼務 |
部長 | 山形 桂司 | H14 | 脳神経外科学会専門医 脳卒中学会専門医 脳神経血管内治療学会専門医 臨床研修指導医 |
脳卒中科 |
部長 | 浦野 裕美子 | H16 |
脳神経外科学会専門医・指導医 |
脳神経外科・脳卒中科兼務 |
医員 | 平田 晴樹 | H30 | 脳神経外科学会専門医 | 脳神経外科・脳卒中科兼務 |
医師診療表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1診 | 山形 | 金城 | 交替 | 村田 | 浦野 |
2診 | 平田 | 山形 | |||
専門外来(午後) | 頭痛外来 交替 |
予約以外の方の受付時間は午前10時までです。
初診の方は診察前に画像検査をお受けいただきます。
頭痛外来は完全予約制です。また、紹介状が必要です。
統計
業績
文責:脳神経外科