令和2年4月より常勤医2名が着任、さらに同年10月より1名が着任し、常勤医3名、非常勤医1名の体制で眼科診療にあたっております。
手術や硝子体注射などの眼科急性期治療、夜間・休日の眼科救急のオンコール対応を行っています。
地域の総合病院の眼科として、最新・最良の医療の提供に努め、地域の皆様に信頼される眼科となりますよう、スタッフ一同、日々努力しています。
外来診療
初診外来(1診)と、再診外来(2診)を分けて診察することで、待ち時間の負担軽減に努めています。
広範囲の眼底を1度の撮影で評価可能な広角眼底撮影装置や、網膜疾患を約5マイクロメートル(1マイクロはミリの1000分の1)の精密さで検出可能な網膜光干渉断層計(OCT)、OCTの原理を応用し、造影剤を使用せずに網膜血管を毛細血管まで描出可能なOCTアンギオグラフィなど、正しい診断・詳細な病態評価のために必要な最新の設備を導入し、診療にあたっています。
硝子体注射
加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、血管新生緑内障など適応が拡大し、今後ますますの増加が予想されます抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体注射につきましては、外来処置室にて毎日施行可能な体制を整えております。早期に治療が必要な患者さんにも、速やかな治療導入が可能です。
手術治療
病状に応じて、白内障手術、硝子体手術、緑内障手術、外眼部手術(眼瞼手術、翼状片手術、他)、涙道手術(涙管チューブ挿入、涙嚢鼻腔吻合術)などの手術をおこなっています。病状により、緊急での手術対応も可能です。
新病院への移転に伴い、眼科手術のシステムを一新しております。
現在は白内障手術や外眼部手術を含め全例を3D映像システムを用いて手術を行う(HUS: Heads Up Surgery)にて手術をおこなっています。手術介助者も術者と同じ3D画面を共有し、3次元的に手術を体験することが可能となり、手術中の介助スタッフとの一体感や手術教育においても有用であると感じています。
また、合わせて術中網膜光干渉断層計(OCT)、トーリック眼内レンズガイダンスシステムも導入しております。詳細につきましては別項「デジタル3D眼科手術システム、手術ガイドシステムを導入しました」をご参照ください。
白内障手術
切開創2.2mmの極小切開でおこない、侵襲が小さく眼への負担が少ない手術を心がけております。病状やご希望に応じて、日帰り~2泊3日の入院にて行っています。水晶体脱臼や水晶体動揺の見られる例など難症例の白内障手術につきましても対応が可能です。
令和2年度より選定療養費の扱いとなりました「多焦点眼内レンズ」を用いた白内障手術につきましても当院にて受けることができます。お一人お一人の生活スタイル、眼の状態等、総合的に判断し、多くの選択肢の中から最適な眼内レンズが選択できるよう努めています。
硝子体手術
27ゲージ極小切開硝子体手術を行っております。眼内圧の安定性に優れた硝子体手術装置であるConstellation®を導入し、より安全で、眼への負担が少ない手術が可能となっています。当院では、網膜剥離、黄斑上膜、黄斑円孔、増殖糖尿病網膜症、増殖硝子体網膜症など硝子体手術が必要な全ての疾患に対応しています。
緑内障手術
緑内障治療には薬物治療、手術治療ともに数多くの選択肢がありますが、病状に応じて適切なタイミングで、最適な治療をご提案、実施できるよう努めています。線維柱帯切除術、眼内からアプローチする低侵襲な線維柱帯切開術、緑内障インプラント手術などの術式を病状に応じて行っています。
外眼部手術
翼状片、眼瞼下垂、霰粒腫などの外眼部手術は原則外来手術にて行っていますが、小さなお子さんの手術につきましては全身麻酔での手術も行っています。
涙道手術
「涙がよくこぼれる」、「目やにがずっと続く」、などが涙道障害、涙のう炎の主な症状になります。
当院では、涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術や涙嚢鼻腔吻合術(鼻内法)を病状に応じて行っています。近年増加傾向にあります抗がん剤による涙道障害につきましても積極的に対応しています。
笑気麻酔の導入について
眼科手術は局所麻酔下で行なわれることが一般的ですが、目の手術と聞くととても不安になられる患者さんもいらっしゃいます。
手術中にとても緊張され、普段よりも血圧が高くなってしまうかたも時々いらっしゃいます。
近年、目の局所麻酔手術の不安や緊張の緩和に笑気麻酔の有用性が報告されています。当院でも、手術中の不安や緊張を和らげ、リラックスした状態で苦痛なく手術をうけていただけるよう、笑気麻酔の導入を予定しています。
令和5年10月頃より、ご希望の方には笑気麻酔の併用も選択いただけるよう準備を進めています。
今後も最新の知見をもとに、よりよい医療を提供できるよう努めてまいります。
デジタル3D眼科手術システム、手術ガイドシステムを導入しました
新病院への移転に伴い、より精密で低侵襲な手術治療の提供を目指し、手術室の顕微鏡システムと手術ガイドシステムを更新しましたので紹介いたします。
HeadsUpSurgeryによる術中ガイダンスシステム
手術機器や検査の進歩により、白内障手術は、混濁した水晶体を取り除くことによる視力の改善のみならず、トーリックレンズや多焦点眼内レンズを用いた手術など、より良好な裸眼視力を求めて、屈折矯正の効果も期待される時代となってきました。その実現のためには、角膜切開位置等、術中操作の影響を正確に考慮し、眼内レンズの挿入角度を正確に合わせることで、術後の残余乱視の最小化を図ることが必要不可欠となります。
私たち眼科医もそのような患者さんの期待に答えられるよう、正確で低侵襲な手術を心掛けていますが、分度器を用いた手作業での角度測定は煩雑で誤差の出やすい操作でした。
新病院への移転に合わせて、Leica社のPROVEO8®眼科手術顕微鏡と術中OCT(網膜光干渉断層計)システム、Alcon社のNgenuity® 3D手術システムとVERION®白内障手術ガイダンスシステムを導入致しました。
この手術ガイドシステムでは、術前検査の際に患者さんの眼の写真も自動的に記録します。手術開始時に術前の画像と術中の眼の映像の血管等の位置を認証することで、手術中に眼球の位置、角度をトラッキングし、手術プランに従って最適な切開位置、眼内レンズの挿入角度をリアルタイムにガイドしてくれます。
このシステムの導入により、短時間で正確にトーリックレンズの挿入を行うことができるようになりました。また、術後にも測定を行うことで眼内レンズ計算式で用いる定数の最適化も自動計算にて行うことができるようになりました。
術中OCTシステム
当院に導入しましたLeica社の顕微鏡内蔵型術中OCTシステムは、日本では当院が導入第一号の機器となります。網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜、増殖糖尿病網膜症など網膜に対する繊細な操作が必要な手術でとても有用なシステムです。
従来は、術前の外来検査にて行うOCT画像の情報を頼りに、術中の顕微鏡所見と併せて網膜硝子体界面の状態を想像しながら手術を行う必要がありました。特に硝子体出血を合併した症例では、出血のため術前に詳細な評価を行うことが困難な場合もありますが、今までは術中の顕微鏡所見のみで網膜界面の状態について判断し、術式を決定するほかありませんでした。
本システムの導入により網膜操作を行う前後で術中にOCT画像を取得することが可能となり、網膜剥離における網膜下液の状態や黄斑円孔の状態の評価をリアルタイムに行うことができるようになりました。
今後もより安全で低侵襲、高精度な治療を地域の皆様に提供できるよう努力してまいります。
医師紹介
職名 | 氏名 | 卒業年 | 学会専門医資格等 | 備考 |
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医長 | 飯田 悠人 | H20 | 日本眼科学会専門医 日本網膜硝子体学会眼科PDT講習会認定 視覚障害者用補装具適合判定医師 |
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副医長 | 田平 佑香 | H28 | 日本専門医機構・日本眼科学会専門医 日本医師会認定産業医 |
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医員 | 森田 英典 | R2 | ||
医員 | 棚本 知世 | R2 | ||
医員 | 原 健太朗 | R3 | ||
非常勤 | 小原 啓子 | S63 | 日本眼科学会専門医 |
医師診療表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前・1診 | 田平 | 原 | 田平 | 棚本 | 飯田 |
午前・2診 | 森田 | 森田 | 小原 | 小原 | 棚本 |
午後・1診 | 飯田 | (原) | 飯田 | 森田 | |
午後・2診 | 小原 | 田平 | 森田 | 森田 | 田平 |
※初診予約が必要です。詳しくは「初診の患者さんへのご案内」をご覧ください。
※受付時間は10:00までです。
統計
入院・外来患者数
手術実績
文責:眼科