病気(感染症)の原因となる病原微生物を見つけ出し、その病原微生物はどんな抗菌薬を使用すれば治療効果が得られるのか調べるのが主な業務です。
患者さんから提出された検体(喀痰、尿、便)などを、微生物が成長するために必要な栄養素を含む寒天培地に塗り、体温とほぼ同じ35℃~37℃で培養し、肉眼で確認できるように発育増殖させます。
その後、発育してきた微生物がなんなのか様々な確認検査を行い、菌名を調べます。(同定検査)
並行して、検出された病原微生物はどの薬(抗菌薬)を使用すれば治療効果が得られるのか調べます。(薬剤感受性検査)
ここまでの過程で約3日間を要します。非常に時間のかかる検査です。
実際に抗菌薬投与を開始するときには、まだ原因菌の同定や薬剤感受性が得られていないことがあります。これらを少しでも確実に判断するため、グラム染色による原因菌の推定、および、当院で検出された細菌別抗菌薬感受性率表(アンチバイオグラム)を定期的に改訂し活用しています。
私たちは日々患者さんの微生物を原因とした病気の治療に少しでも役立てるよう業務に取り組んでいます。
【抗酸菌検査】
結核菌を含む抗酸菌検査も院内で実施しています。
抗酸菌は上記で述べた一般的な細菌と比べ発育が遅く、同定・薬剤感受性検査の結果報告には、より時間を要します。抗酸菌はグラム染色での観察が難しいため、チール・ネルゼン染色(図1)並びに蛍光染色にて観察を行います。また、結核菌などの病原体を検査材料から直接検出する遺伝子検査(図2)も活用しています。
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図1 チール・ネルゼン染色
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図2 GENECUBE
フォトギャラリー
微生物は汚い!と殆どの方が印象をお持ちでしょうが、写真で見ると意外と色鮮やかな気がしませんか?
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文責:臨床検査室