ロボット支援下手術とは?
ロボット支援下手術は、手術支援ロボットの「ダビンチXi」という医療機器を使用した手術で、分類として内視鏡手術に分類されます。従来の内視鏡手術と同じようにいくつかの小さな切開部を作り、外科医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子を動かして行う手術です。
そのため、開腹手術などの一般的な手術に比べて、患者さんの身体に係る負担が少ないことが特徴です。そして、従来の腹腔鏡手術に比べて、よく見え、細やかな操作が可能となり、手振れが補正され、精密な手術操作が可能です。術者(医者)にとっては、手術がしやすく、長時間の手術による疲れも少ないものとなりました。医師をサポートしてくれる機械(ロボット)を使って行う手術がロボット支援下手術という事です。
従来の内視鏡手術が始まって以来、医師が内視鏡手術の技術向上に切磋琢磨し、技術が熟成されてきている現在、従来の内視鏡手術とロボット支援下手術の手術成績に顕著な違いが示されている症例はまだ多くはありません。
しかし、当院では精密な手術操作が可能であるロボット支援下手術は、確実性と安全性の観点から患者さんのメリットとなると考えております。
手術支援ロボット ダビンチXi(daVinci)とは
ダビンチは、アメリカで開発された内視鏡手術用の手術支援ロボットで、正式にはダビンチサージカルシステムといいます。初代のダビンチが発売されてからも開発が続けられ、ダビンチS、ダビンチSiを経て、現在最新となる第4世代が当院で導入しているダビンチXiとなります。
システムは、サージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートなどから構成され、3つのアームと1つの3Dカメラを搭載し、アームのカセットを交換することで、様々な処置を行うことが出来ます。
ダビンチの名前の由来は、15世紀の発明家であり、画家であり、哲学者であったレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんで付けられました。ダ・ヴィンチは人体の解剖学に関する研究を進歩させたことで広く知られています。
ダビンチはサージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートの3つの機器によって構成されています。
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(1)サージョンコンソール
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(2)ペイシェントカート
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(3)ビジョンカート
1.「サージョンコンソール」とよばれる操縦席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。
2.「ペイシェントカート」の4本のロボットアームにその動きが伝わります。
3.「ビジョンカート」のモニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフも同じ画像が共有されます。
ロボット支援手術の特長
1.体への負担が少ない
数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、出血も抑えられ、手術後の回復が早く、患者さんの負担が軽減されます。
2.鮮明な3D(3次元)画像
コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。
3.精密な動きを再現
医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。
ダビンチの鉗子はリスト構造を持ち、人間の手より大きな可動域と手ぶれ補正機能を備えているため、細密な動きによって機能が温存できる可能性が期待できます。
当院で行っているロボット支援下手術
- 泌尿器科
- 前立腺癌
- 腎癌
- 膀胱癌
- 腎盂尿管移行部狭窄症
- 子宮脱
- 外科
- 胃癌
- 直腸癌
以上の症例の中で主治医がロボット支援下手術を行うことが優位と考えられる症例にロボット支援下手術を行っています。詳しくお聞きになりたい方は外来担当医にご相談ください。
手術費用について
保険適応となるロボット支援下手術は従来の内視鏡手術に比べて多少高額となりますが、高額療養費制度の適応を受けられる方は従来の内視鏡手術と大きく変わらない費用負担となります。詳しくは当院スタッフまでお問い合わせください。
例)月額報酬40万円で69歳以下の前立腺癌患者さん(高額療養費制度区分ウに該当)が前立腺全摘出手術を受ける場合
従来の内視鏡手術(医療費3割負担額)
手術費用:前立腺全摘術 92万円(27万円)
入院費用:平均的な入院14日分 48万円(14万円)
(高額療養費制度(区分ウ)を使った場合の自己負担額)
80,100円+(1,400,000円-267,000円)×1%=約91,000円
ロボット支援下手術(医療費3割負担額)
手術費用:前立腺全摘術 110万円(33万円)
入院費用:平均的な入院14日分 48万円(14万円)
(高額療養費制度(区分ウ)を使った場合の自己負担額)
80,100円+(1,580,000円-267,000円)×1%=約93,000円
※金額は当院における実績等から平均的な金額を目安で示しています。
※患者さんの手術の状況や入院日数などにより費用は変動します。
※入院費用には個室料や食事療養費、その他自費項目は含まれていません。
※高額療養費制度を使用しての自己負担金額の計算については、入院期間が月を跨ぐ場合は異なります。
文責:経営企画課