2024年7月20日(土)にプラザおおるりで医療学習会が開催され、当医療センター脳神経外科部長の浦野医師と、島田市健康づくり課の大村保健師が講演を行いました。
第1部では浦野医師が「脳卒中について」と題して講演を行いました。脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を合わせた総称で、卒中という言葉は「突然起きる」という意味で、昨日まで元気だったのに、ある日突然手足が動かない、喋れない、といった症状が急に起こります。
脳梗塞は血管が詰まる病気で、脳梗塞の中でも大きく3つに分かれます。動脈硬化で細い血管に詰まって起こるラクナ梗塞、不整脈などの原因により血の固まりができて血管が詰まる心原性脳塞栓症、頸動脈や太い血管が、動脈硬化やコレステロールなどの原因により、血の固まりができて詰まるアテローム血栓性脳梗塞に分かれます。また、無症候性脳梗塞といって、脳梗塞が起きても症状がないものもあり、脳ドックなどでたまたま見つかったりすることもあるそうです。
脳梗塞は血管の流れが悪くなり、脳を養う血管が障害され、どの血管が障害されるかにより症状が異なるそうです。症状には、左右どちらかの手足の脱力、呂律が回らない、顔面の麻痺で口が曲がる、言葉が出てこない・理解できないなどが出ます。
どんな症状が出たら病院に行けば良いのかを「FAST」という言葉を用いて説明しました。
F・・・Face(顔の麻痺)/A・・・Arm(腕の麻痺)/S・・・Speech(言葉が出ない)/T・・・Time(発症時刻)
治療は脳梗塞が完成する前に詰まった血管を通す必要があり、脳梗塞が完成してしまうと積極的な治療ができず、リハビリ治療となります。積極的な治療ができるタイミングとしては、発症してから4時間半以内の方は注射で治す血栓溶解療法、4時間半以上超えていたり、太い血管が詰まったりしている場合はカテーテル治療で血栓を回収します。
脳出血で出血してしまうと、治療でできることはこれ以上出血が増えないように安静にして血圧を管理することです。ある程度出血が大きい場合は手術適応となりますが、手術をしても出血によって破壊された脳の機能は戻りません。脳出血は、高血圧や動脈硬化、もともとの血管の病気が原因となって起こるとのこと。また、脳梗塞を起こした方は再発予防のために血液をサラサラにする薬を飲むことがありますが、そういった人が脳出血を起こすと出血が止まりにくくなるため、大きな出血になることがあります。そのため、脳梗塞を起こした人は、より厳重に血圧管理をする必要があります。
くも膜下出血は、くも膜下腔に出血するもので多くは脳動脈瘤が破裂したものを指します。破裂するまでは何も症状がなく、ある日突然破裂した時にバットで殴られたような激しい頭痛が起こるそうです。他にも吐き気や嘔吐などの症状があり、破れ方によっては意識が悪くなる方もいます。治療は開頭して動脈瘤の根の部分をクリップで挟むクリッピング術、もしくはカテーテルを動脈瘤の元まで持っていき、コイルを詰めるコイル塞栓術があります。
事前にこれらの病気が起こるリスクがどれくらいかわかるのが脳ドックです。血圧が高くなってくる40代の方、生活習慣病がある方、身内がくも膜下出血になったことがある方には、一度受けた方が良いとすすめているそうです。脳ドックのMRIでは、無症候性の脳梗塞や脳出血が見つかることもあります。見つかっても血圧管理をしたり、ある程度の大きさの動脈瘤であれば破れる前に手術をしたりすることで予防することができます。発症を予防していくことが大事であり、血圧が150~160で高いまま放置せずきちんと管理すること、糖尿病や心房細動は内科で治療していくことなどが必要です。また脳梗塞の治療にはタイムリミットがあること、症状を見つけた時にすぐに病院へ行くことを呼び掛けて終了しました。
第2部は「適塩について」と題して、健康づくり課の大村保健師が講演を行いました。
島田市は他市と比べて糖尿病、高血圧の医療費が高く、市民一丸となって取り組む必要があると言われています。健康に過ごすためにまずは食事から元気に、ということで島田市はTE・Aプロジェクトを推進しています。Tは適、Eは塩、Aはアクションという意味です。適塩とは、適正な塩分摂取量を知って、できることからはじめようという取り組みで、誰もが元気に暮らし続けられる島田市を目指して、適塩の普及に取り組んでいます。
ヘルしろうの適塩6か条を紹介し、適塩のポイントを紹介しました。ポイントは下記のとおりです。
文責:経営企画課