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2024年6月金谷地区医療学習会

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 2024年6月22日(土)に金谷地区生活交流拠点施設「かなうぇる」で医療学習会が開催され、当医療センター消化器内科部長の石橋医師、島田市健康づくり課の兼岩保健師が講演を行いました。

 第1部では、消化器領域におけるがんについてのほか、近年、力を入れている当院のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)治療について講演を行いました。
日本人におけるがんの発生状況は、平均寿命が延びるとともに、がんに罹患(りかん)する確率も上昇してきています。生涯でがんになる確率は、男性では65%、女性では51%と、日本人の2人に1人は何らかのがんになると言われているそうです。部位別で見ると、男性では前立腺がん、女性では乳がんと言ったように、男性・女性特有のがんが多いですが、男女ともに消化器がんも多いとのことです。

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 消化器領域におけるがんの症状について説明しました。
 食道がんの初期症状は、胸がしみたり、食べ物を食べた時に胸の奥がチクチクしたりするとのこと。がんが大きくなると食道の中が狭くなるため、何かを飲み込むときに胸のつかえを感じるようになったり、さらに進行して大動脈や神経にがんが浸潤すると、胸や背中にも痛みを感じるようになるそうです。食道がんは喫煙と飲酒が最も重要な危険因子で、WHOはアルコールが体内で分解されてできる物質(アセトアルデヒド)を「最も関連の強い発がん物質」として認定しています。飲酒するとすぐに顔が真っ赤になる体質の人が、大量のアルコールやアルコール濃度の高い酒を飲むと発がんの危険性が高まるそうです。

 胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があるとのこと。代表的な症状としては、胃の痛み、不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振などが挙げられますが、これらの症状は胃炎や胃潰瘍の可能性もあるそうです。
胃がんの危険因子として塩分過多、喫煙、飲酒、その他ピロリ菌感染があります。飲酒量が多いほど胃がんになりやすく、エタノール摂取量が23g以上で胃がんのリスクが高まるそうです。エタノール摂取量23gというのは、日本酒1合分やビール500ml缶1本分にあたります。予防として減塩や禁煙、節度ある飲酒、ピロリ菌の除菌などが挙げられます。

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 大腸がんは初期段階では自覚症状がなく、がんが進行してくると血便や下血などといった症状が現れるとのこと。さらに進行すると慢性的な出血が起き、それによってめまいや貧血を起こします。ただ、便に血が混じる、血が付着するなどの症状は、痔などの良性の病気でも起こることがあるため、放置してしまうこともあるそうです。がんの場合、放置してしまうと進行してしまうため、できるだけ早期に発見するためにも消化器科や胃腸科の受診が必要です。大腸がんの危険因子には、運動不足や肥満、飲酒などがあり、食生活の欧米化による影響も挙げられました。

 これらのがんに対し、内視鏡治療、外科的治療、放射線治療、化学療法など、がんのステージに合わせた治療法があります。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、早期がんに対し電気メスを使い、粘膜下層レベルで一括切除する治療法です。石橋医師が実際のESD治療の様子を動画で説明しながら紹介しました。ESDのメリットは、高齢患者には外科的手術に比べてESD治療が低侵襲性であることや浸潤がんでも切れること、デメリットは合併症が起こりうることや出血により輸血が必要になることがあるそうです。当院でのESD治療件数は、他院からの紹介などにより増加傾向にあり、今は若手医師を指導しながら様々な部位における治療を行い、内視鏡治療の体制を強化していることを紹介して第1部は終了しました。

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 第2部は、兼岩保健師による「がん検診について」の講演が行われました。
令和3年度の島田市の死亡統計で死因の1位は悪性新生物(がん)ですが、これまでは死因の1位はがんではなく老衰であり、がんが増加してきているそうです。

 島田市のがん検診受診率やその後の精密検査受診率などについて説明しました。大腸がんの精密検査を受ける方は、他の部位の精密検査より受診率が低いそうです。その理由として、「自覚症状がないから大丈夫」「仕事が忙しいから」「痔があるから血が混じるのは当たり前」といった内容が聞かれるとのこと。しかし、精密検査の受診を先延ばしにして「あの時、精密検査を受けておけば…」と後悔している方もいるそうです。自己判断はせず、精密検査が必要と判断されたら受診することで、「がんではなかった」とわかれば自分だけでなく、家族も安心できます。もし、早期のがんであっても早めの治療により予後も期待できます。

 島田市のがん検診には「総合がん検診」、「地区回り検診」、「個別検診」の3つがあります。
総合がん検診は、胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診などがあり、歯周疾患検診を除く8項目の検診を受けることができます。完全予約制で土日の実施日もあるため、平日忙しい方にもおすすめの検診とのこと。
地区回り検診は、大腸がん検診と肺がん検診のみ受けることができ、公民館などで実施していて、予約は不要です。
個別検診は子宮頸がん検診、乳がん検診、前立腺がん検診、肝炎ウイルス検査、歯周疾患検診の5項目を受けることができます。こちらは実施している医療機関で都合の良い日に受けられ、子宮頸がんと乳がん検診は、藤枝市・焼津市の一部の医療機関で受けられます。
 どんな方法で受けられるのか、兼岩保健師は具体的な例を挙げて説明しました。当院の人間ドックを受診している方は、オプション検査として子宮頸がん検診、乳がん検診、前立腺がん検診、肝炎ウイルス検査を個別検診として、市から送付される受診券を使用して受けることができます。
全部の検診を一度に受けたい方は、総合がん検診を受診し、歯周病検診だけ個別検診で受ける、といった方法もあると話されました。どんな方法で受けたら良いか迷ったら健康づくり課まで相談していただき、がん検診や精密検査の受診の大切さを呼び掛けて終了しました。
 


文責:経営企画課

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