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2023年7月六合地区医療学習会

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 2023年7月22日(土)に六合公民館「ロクティ」を会場に医療学習会が開催され、当医療センター脳神経外科の平田医師と、島田消防署の中山救急係長が講演を行いました。はじめに主催者の「地域医療を支援する会」の矢澤代表から開会の挨拶がありました。

 第1部では、平田医師が「脳卒中について」と題して講演を行いました。最初に平田医師が簡単に自己紹介を行い、医師を目指した経緯や脳神経外科を選んだ理由などを話され、そして脳神経外科医である前に、全身管理ができる医師として診療をしていくことを心がけていると話されました。

 脳卒中という言葉は「脳」と「卒中」という単語に分けられ、「卒中」には「卒倒する、(あた)る」という意味があり、脳に何かが起こって倒れることを表します。この「何かの病気」が脳卒中で、「何か」というのは、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3つに大きく分類されます。脳の中の血管が破れて脳自体を破壊することを脳出血と言います。脳出血が起こる主な原因として挙げられるのは、高血圧・動脈硬化・血管奇形・腫瘍だそうです。血管奇形は、血液の流れが変わってしまい、脳の血管に負担がかかると脳出血を起こしやすいような状態になることです。腫瘍は、例えば、頭の中にガンができたとすると、ガンの細胞は血液をたくさん取り込もうとします。取り込もうとした血液が血管に入る量を超えてしまうと、そこで血管が破れて出血を起こしてしまいます。
 脳の機能は場所で決まっていて、右利きの人の98%以上が、言葉を話す脳の領域がほとんどの場合、左側にあるそうです。特に「話す」という行為は、左側の側頭葉、前頭葉に関わっていて、ここでピンポイントに脳出血を起こすと言葉を話せなくなってしまいます。脳の前方で脳出血を起こすと、言葉がうまく出ない、話せなくなってしまうそうです。また、脳の下側、側頭葉のあたりで出血を起こすと、言葉の理解ができないということが起こります。脳出血の程度が大きいだけでも死に至り、出血が多いと治療もできることが少ないため、脳出血は致死的な病気であるそうです。

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 くも膜下出血は、脳出血の1つになりますが、脳血管が破れて脳の隙間に出血することを指します。脳動脈瘤が原因で、血管のコブができると血圧がたくさんかかりやすく、破裂しやすい状態になるそうです。その状態で血圧が上がった時や頭をぶつけた時に、くも膜下出血が起こります。症状の代表的な例は、後頭部をバットで殴られたような突然の頭痛、突然意識がなくなった、などが挙げられます。くも膜下出血を起こすと、1/3は元気になり、1/3は寝たきり、1/3は亡くなるそうで、それほど重篤な病気であることがわかります。
 脳梗塞は脳の血管が詰まり、脳に血液が届けられず脳が機能しなくなることを言います。血管が詰まる原因の1つに動脈硬化が挙げられ、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが由来します。他にも心臓の問題が挙げられ、心房細動(心臓のリズムがおかしい)であったり、元々、心不全の場合は血の塊ができやすく、血管が詰まりやすいそうです。脳梗塞は、根元の血管が詰まってしまった場合は死に至るケースもあり、血液が詰まる場所が先の方である場合は小さい脳梗塞になります。脳梗塞は1分間で190万の脳神経の細胞が失われると言われており、治療が遅くなれば遅くなるほど後遺症が残りやすいものです。脳卒中の治療にはたくさんの選択肢がありますが、患者さんによっても異なり、病院に来るまでの時間や症状によっても異なります。どんな脳卒中でも早く治療をした方が良いに越したことはなく、治療開始が遅れるほど、できる治療が減っていきます。

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 「突然意識が悪くなった」「突然右半身が動かなくなった」などの「突然〇〇になった」ということが起きたら、すぐに119番通報することを呼びかけました。当院の脳神経外科は、24時間365日対応するため待機しており、連絡があれば病院に行って緊急治療を実施しています。しかし、上記のような体制を取っていても、中には後遺症が残ってしまうケースもあります。病院に運ばれた時点で治らないほど重症であったり、治療可能な時間に間に合っていなかったりするためです。
 1人の患者さんを治療するためにチーム医療を行っていて、救急隊、救急の医師・看護師、手術が必要であれば麻酔科の医師や手術室の看護師、カテーテル治療であれば放射線技師や看護師、入院時には病棟の看護師やリハビリスタッフ、薬剤師など、たくさんのスタッフが関わっています。全員が1分1秒でも早く治療できるように全力疾走で行っています。
 ここで大事になるのは、治療スタートの合図となる119番通報です。通報するまでに時間が経ってしまうと治療ができなくなってしまうので、命を救うためにも気づいたらすぐに通報することを呼びかけました。

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 第2部は中山救急係長が「救急車の利用実態」と題して講演を行いました。
 119番通報をしてから救急車が現場に到着するまで、全国平均で8分以上かかるそうです。しかし、近くの救急車が出動している場合、2番目に近い救急車が出動することになるため、通報が重なれば重なるほど到着に時間がかかってしまいます。そのため、「病院に行きたいけど行く手段がない」、「救急車なら無料だから」という理由で救急車を利用するのは控えていただきたいとお願いしました。また、救急車が到着するまでに救命措置が行えるよう、心肺蘇生の手順について資料を用いて説明しました。

 

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 119番通報で聞かれる主な内容は、急病人の意識があるか、呼吸をしているか、今どういう状態であるのか、わかれば生年月日なども聞かれますが、わかる範囲で答えれば良いとのことです。会場の参加者で急病人役と発見者役に分かれて、119番通報のシミュレーションを行いました。シミュレーションをしてみて、落ち着いて対応することや通報の難しさを実感しました。最後に、救急車の適正利用と災害時の早めの避難をお願いして終了しました。


文責:経営企画課 

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