2021年12月18日(土)に初倉公民館「くらら」を会場に医療学習会が開催され、当院循環器内科の金森医師と島田市初倉中学校区地域包括支援センターの職員による講演が行われました。はじめに主催者の「地域医療を支援する会」神代代表から開会の挨拶がありました。当会はアルコール手指消毒、マスクの着用などの感染対策をして実施されました。
第1部では、当医療センターの金森医師が「心臓病について」と題して講演を行いました。はじめに、当院の循環器内科には11名の医師(そのうち8名が専門医)が在籍し、充実した体制で心臓病、血管病を主に診療を行っていることや、循環器内科の入院患者について過去2年間分のデータを示しながら、疾患別の内訳を説明しました。疾患別でみると、一番は虚血性心疾患、心筋梗塞や狭心症などの病気が多く、2番目に多いのは感染症であり、高齢者の肺炎や尿路感染が非常に多くウェイトを占めるため、内科の中で分担して診ているとのことでした。3番目は心不全、不整脈、弁膜症といった病気が挙げられ、後期高齢者になると、死因の一番は脳卒中と循環器病と言われているため、循環器病の治療は大きな課題とのことです。
心臓病とは、心臓の構造や働きの異常によって生じる病気の総称であり、具体的には心不全、虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、心筋症、先天性心疾患などが挙げられました。心臓の血管がどうなっているか診断するために行うカテーテル治療やステント治療について、それぞれイラストや実際の映像を用いながらわかりやすく説明しました。大動脈弁狭窄症という病気の話の中で、以前は弁を取り換える外科的な手術しか治療法がなかった病気でも、胸を切らなくても弁置換術ができるようになり、高齢の方や肺の病気や合併症があって手術が受けられなかった方にも、治療ができるようになってきたことを紹介しました。他にも、実際に当院で実施しているカテーテルアブレーションという、動悸や不整脈の症状を取るために、不整脈の起源になるような箇所を熱が出るカテーテルで部位を隔離して、不整脈が起こらないようにする治療についても紹介しました。
心臓病について、具体的にどんな症状が起こるのか、受診した方が良い場合の症状について説明しました。胸が痛い、圧迫感や締め付けられる感じ、労作時に症状がおこり、休むとすぐ治るような症状がみられる場合にはできるだけ早く来院すること、近くにAEDがあれば意識がなくなった方の蘇生を試みることをお願いしました。救命処置ができることも大事であり、胸骨圧迫ができるかどうかが重要になってくるそうです。特に、家族に心臓病を患っている方がいれば、周囲の方がこういったことを頭に入れておくこと、他にも職場でAEDの有無、どこに設置されているかなどを確認しておくことを推奨しました。不整脈や心筋梗塞、弁膜症高血圧などの病気のなれの果てが心不全であり、心不全で入院された方の予後は、がんの予後とあまり変わらないため、息切れや浮腫みが起こり心臓がだんだん悪くなって命を縮める病気と表すとのこと。予防法は血圧の管理を行い、自身の家庭血圧を確認してもらうことだそうです。高血圧であるということを認識している人は多いですが、40~50代から動脈硬化の病気は発症してくるとのことです。塩分摂取量について、日本人は普通の生活をしている人で約10~11gの塩分を接種していると言われますが、本来だと7~8gが理想で、血圧がすでに高い人は6g程度の厳しい塩分管理が行われます。加えて、肥満を是正すること、すでに糖尿病であったりコレステロールが高い場合は必ず治療をすることが重要です。食事に関してはバランスとトータルのエネルギー量が大事で、糖質を極端に抑えたからといってそれが本当に長期的に良いとは限らないそうです。脂質に関しても、動物性の脂質を過剰摂取すると動脈硬化が進むのは間違いないとのことでした。最後に、自分で出来る一番大事な生活習慣は禁煙することだそうです。喫煙されている方は心臓病のリスクは2~4倍くらい上がると言われているので、多量飲酒を避けたり、運動したりすることが大事であると呼びかけて講義は終了しました。
第2部に島田市初倉中学校区地域包括支援センターの職員が、「島田市初倉中学校区地域包括支援センター(高齢者あんしんセンター)について」と題して講演を行い、第3部として地域医療を支援する会が、安心して暮らせる医療環境を守るために、会から6つの提案を行い、学習会は閉会しました。
文責:経営企画課