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2024年11月大津地区医療学習会

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 2024年11月30日(土)に大津農村環境改善センターで医療学習会が開催されました。当医療センターの歯科口腔外科 田中医師が「口腔内疾患とインプラント治療」、青山病院事業管理者が「島田市立総合医療センターの現状」について講演を行いました。

 当院の口腔外科では、親知らずの抜歯や顎変形症、口腔がんなどの診療を行っています。そのため、一般的な虫歯や歯周病、入れ歯などの治療は行っていません。はじめに田中医師が口腔がんとはどういったものか説明しました。口の中にできた傷や腫れ物、できもの、白色や赤色の斑点は口腔がんの可能性があるそうで、治らずに増殖し続けるのが口腔癌だそうです。症状としては、最初は食べ物がしみることが気づくこともあるそうですが、ほとんど自覚症状がないため、全く気付かないものもあるとのことでした。口腔がんの原因は、たばこの喫煙、過度な飲酒であり、2つとも当てはまる方は要注意だそうです。他にも慢性の機械的刺激(合わない入れ歯や虫歯)、食事などの化学的刺激(熱いもの、からいもの)、加齢といったものが挙げられます。口腔がんが発現する部位で最も多いのが、舌であり、特に注意が必要とのことでした。スライドで正常な舌と異常が見られる舌の画像を見比べながら、こういった症状があれば受診するよう促しました。

 口腔がんは、がんの大きさや転移の有無によって早期がんか進行がんかに分かれます。口の中で転移しやすい場所は、首のリンパ節や肺のリンパ節が挙げられ、顎の下が腫れてくると転移の可能性があるとのことでした。
 治療は手術、放射線治療、抗がん剤治療などがありますが、進行具合によっては手術と放射線治療を組み合わせて治療を行うこともあります。また、進行してしまうと、舌の半分、もしくは全摘することもあるため、摘出した舌の代わりに自分の太ももや腕、腹直筋の皮膚の筋肉を取って切除した部分の舌とする手術も行うそうです。こうした進行がんの手術には、術後の食事や発声時の機能障害が大きいこと、手術時間が10時間ほどかかること、入院期間が1ヶ月ほどかかること、前腕や胸腹部などの他の部位の手術が必要になること、放射線治療や抗がん剤が必要なことが多いこと、気管切開するため術後1週間は発声できないことなどが挙げられます。

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 早期発見のために、口の中に次のような症状があれば、早めの歯科受診を勧めました。
 ・傷、腫れ物、白や赤の斑点がある
 ・しこり(硬い)を触れる
 ・触ると容易に出血する
 ・短期間に腫れ物が増大する、もしくは縮小しない
 ・2~3週間以上治らない口内炎がある

 予防としてできることは、
 ・禁煙する
 ・飲酒は適度にする
 ・歯磨きなどで口の中を清潔に保つ
 ・刺激の強い食べものは控えめにする
 ・合わない入れ歯の修理や虫歯の治療を行う
 歯医者には痛くならないと行かないことが多いですが、定期的に歯科受診することで早期発見につなげることができます。

 最後に、インプラント治療について紹介しました。歯が無くなった時、歯医者に行くと「ブリッジにしますか?」と言われたことがあるかもしれません。ブリッジとは無くなった歯の隣同士の歯を削って金属をつける治療になりますが、健康な歯も削らなければなりません。他にも入れ歯や義歯をつけるといった治療がありますが、これらは保険診療にあたります。一方のインプラント治療は自由診療にあたり、人工の歯根を打ち込んで歯をつくります。具体的にインプラント治療の流れをスライドで紹介しました。
 聴講者からは「インプラントは年を取って骨が弱くなると治療できないと聞きましたが、できないんできないんでしょうか?」と質問が出ました。年齢とともに骨は細くなってくるものであり、インプラント自体にも太さがあるので、できない場合もあるそうです。しかし、骨をつくることもできるので、顎の骨を取ってきて、インプラントを作る箇所に移し、骨を増やす手術をしたら、半年後にインプラントを埋入することができるそうです。そのため、骨が細くなってしまったらできない、というわけではないそうです。他にも聴講者からの質問に回答し、田中医師の講演は終了しました。 

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 第2部では、病院事業管理者の青山医師が「島田市立総合医療センターの現状」と題して講演を行いました。
 はじめに令和5年3月に竣工した病院の施設概要を説明し、病院のロータリーや駐車場など、利便性が向上した点を改めて紹介しました。当院は災害拠点病院であり、手術中に地震が起こっても手術が継続できるよう、揺れを吸収する免震構造となっているため、院内への被害が起きにくいような仕組みになっています。他にも病棟や外来、手術室、新病院になって新しくなった医療機器を紹介しました。
 ヘリポートは災害時の物資運搬や広域搬送の際にも使用できます。川根本町や御前崎から患者が運ばれてくることもあり、屋上にヘリポートができたことでドクターヘリによる搬送件数も増加しています。例えば川根本町から10分~15分で搬送されてから5分程度で救急外来に到着できるので、迅速な対応ができるようにヘリポートから救急外来までの導線には配慮した造りになっていることを紹介しました。

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 救急センターでは、令和3年度が4,096件、令和4年度が4,608件、令和5年度が4,884件、と年々増加していく救急搬送を受け入れています。当院の救急搬送応需率は、令和4年度が98.2%、令和5年度が99.1%とほぼ受け入れている状況であり、志太榛原地区はもちろん、西部からの救急搬送も受け入れています。搬送される症例は、循環器内科では心筋梗塞や心不全、脳神経外科では脳梗塞や脳出血の患者さんが多く、一刻も早い治療が必要となる病気が多いです。他には吐血や下血、骨折、肺炎などの症例があります。救急搬送されないためにも予防としてできることは、普段から血圧の管理や健康診断・がん検診の受診、ワクチン接種、骨粗しょう症の予防や運動を心がけることが大切です。循環器内科の疾患では、心不全は今後も増加が予想される病気であり、原因は高血圧。狭心症や心筋梗塞などの血管の病気、心房細動、弁膜症が挙げられます。心房細動は、以前は薬だけで治療をしていましたが、当院ではカテーテルアブレーションによる治療も行っており、短時間で確実に治療を行うことができるそうです。

 最後に、働き方改革により医師の働き方について見直しが必要とされていることを説明しました。夜間などの人が少ない時には緊急度の高い患者さんを優先して治療すること、家族にする病状説明はできるだけ勤務時間内に行うことなどに関して、ご理解とご協力をお願いしました。


文責:経営企画課 

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