研修概要
島田市立総合医療センター外科では、患者さんそれぞれの疾患に対し最も適切な治療法を提供するように努力しています。悪性腫瘍に対する治療法は、年々高度化・多様化し、それぞれの患者さん達のニーズも広がり、また、とくに高齢者で合併症を持ちながら手術を受けなければならない方々が増加してきており、低侵襲なものから他臓器合併切除に至るまでのあらゆる選択肢を提示し、その根治度、合併症、術後の生活QOLに至るまで、個々の患者さん、そのご家族に治療法を提示し、十分な納得の下に治療選択をされるように心がけています。
研修される方々には、外科という手技のみならず、患者さん個々におかれた状況、環境、病態を十分に判断してその個人にはどんな治療がベストか十分に検討し、患者さんの立場に立った医療を学んでいただく密な個別指導を受けていただきたいと思っています。
腹部外科・一般外科
食道、胃、肝・胆・膵、大腸、直腸、肛門に至るまでの良悪性消化器疾患全般を対象とし手術を中心とした治療を行います。腹部救急も含めた、手術に必要な解剖学、画像診断など、術前診断の能力向上のための指導を行い実臨床に役立つ力の養成に努めます。
また、化学療法、放射線療法、免疫療法などを組み合わせた集学的治療、患者さんに接してのマナーの在り方など細かい指導を行います。交通外傷や事故などの多発外傷・救急疾患への対応もJATECなどに準拠した指導を行います。
腹腔鏡手術外科
注目されている低侵襲手術分野では、当院では1991年の胆石症症例導入を最初に、胃癌、大腸癌、直腸癌、胆石症はもとより、ヘルニア、虫垂炎、腸閉塞症例等を対象、ほとんどの症例で腹腔鏡手術を行っています。特に、胃癌、大腸癌・直腸癌においては静岡県下でも有数の手術症例数を経験しており、現在までに大きな合併症はありません。
このような腹腔鏡手術をより安全に行うために、これらの実績も踏まえた上に、現在では高精度3D内視鏡や4K内視鏡による精緻な手術を行っています。また、2018年にロボット支援下内視鏡手術が保険収載され、2019年より胃癌に対して導入を開始しています。
熟練した指導スタッフの下、これからの若い先生方には少しでも多くの腹腔鏡手術を経験していただきたいと思っています。
乳腺外科
精度の高い術前診断はもとより、術前の患者さんへの接し方、治療方針、術後のホルモン治療、化学療法などを学んでいただきます。
当科研修の方針
外科手術を受ける患者さんの不安を取り除くような十分な説明・面談方法を指導します。外科的治療の適応の検討や検査・治療の実際を、先輩指導医とともに学びます。できるだけ多くの手術症例を経験していただき、個人の意欲や能力に応じて、積極的に経験を積んでいただきます。
取得可能な専門医は日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本乳癌学乳腺会専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本腹部救急医学会腹部救急認定医などです。
定期カンファレンス
早朝カンファレンス:月曜から金曜毎朝8:00~8:30
毎朝、前日の手術症例、夜間の緊急手術症例の検討を行います。また、重症例の検討、今後の治療方針などをきめ細かくカンファレンスします。研修される方には各々の症例を通じて、外科の基本的な考え方や各種画像の読み方、検査データの理解を深めていただきます。
手術症例カンファレンス:金曜日15:00~16:30
毎週金曜日に、次週の手術症例の検討を詳細に行います。個々の症例背景、既往歴から始まり、現在の患者さんの状態、各種画像・検査データの検討、治療方法、手術術式の決定、術中、術後管理のポイントを協議します。研修される方々は、検討に参加しながら、症例を詳細に学びます。
MMGフイルムカンファレンス:金曜日16:30~17:00
MMG読影資格のある指導医とともに、健診、あるいは外科で撮影したマンモグラフィー画像の検討会を行います。
消化器合同カンファレンス:金曜日17:00~
消化器内科とともに、手術症例提示、治療検討などが行われ、最適な治療法について十分な討議を行います。
文責:外科